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低温技術:希釈冷凍機のコンプレッサーの修理の仕方

ここではJoule-Thomson弁タイプの希釈冷凍機に良く用いられ ているコンプレッサー(KNF N145ANE)のダイアフラムが運転途中に破れてしまった時の修理の仕方について説明します。

修理の際に優先することは、「3, 4Heガスの急激な気化を避け 、希釈冷凍機を破壊しない」、「3Heの損失を最小に食い止める」です。


0. 冷凍機の運転の際には、ダイアフラムの予備および修理工具をあらかじめ用意しておきましょう。

運転中にダイアフラムが破れると素早い修理が大切になります 。 あらかじめダイアフラム(アールデックで取り扱っています)と右の修理工具を用意しておきましょう。


1. おかしいなと思ったら、まず状況の確認をしましょう。

ダイアフラムが破れたら、空気が3, 4Heラインに混入し、LN2トラップが詰まるためインジェクションの圧力は上がり、ストレージには空気が溜まるため圧力が上がっているはずです。 またコンプレッサ前の圧力は大気圧となっているはずです。

本当にダイアフラムが破れたことを確認するために、ストレージにガスを少し回収し、コンプレッサ前の圧力を下げます。 もしダイアフラムが破れているのなら、ストレージのバルブを閉じるとすぐにコンプレッサ前の圧力が大気圧に戻るはずです。



2. ダイアフラムが破れていたら、まず修理の間に3, 4Heガスをどこに貯めておくかを決断します。

冷凍機の混合器の温度が低いままであれば、3, 4Heガスを冷凍機内に閉じこめて修理を行うことにします。 このためガスハンドリング装置の前でバルブを閉じます。

冷凍機の混合器の温度が上昇していれば、冷凍機の破壊を防ぐため、ストレージに回収しながら修理を行うことにします。 一時的にガスハンドリング装置の前でバルブを閉じ、この間にサーキュレーションポンプの後ろからストレージに直結するように配管を変更します。 そしてバルブを開け、回収しながら修理を行います。



3. コンプレッサの上のカバーを外します。

右の図の配管およびねじを外して、コンプレッサの上のカバーを外します。







4. ダイアフラムを取り外します。

用意しておいた工具を使って、ダイアフラムの固定ねじをはずし、ダイアフラムを取り外します。

おそらく右の写真のように破れているはずです











5. 新しいダイアフラムを取り付けます。

つるつるの面が上です。






6. コンプレッサのカバーを取り付けます。

このカバーは弁となっています。 取り付け前にエタノールで拭いて、きれいにしておきましょう。



7. 配管を元通りに戻します。



8. 3, 4Heガスをストレージに回収します。

ただし、混合器の温度がまだ低いままであれば、ここでガスを回収する必要はありません。 あとで回収する方が、次のガスの精製が楽になります。



9. ストレージ内のガスの精製を行います。

まず、詰まっているLN2トラップをお湯につけて暖め、真空引きすることにより再生します。

そして、再度LN2にセットして、ここを通してストレージ内のガスをハンドリング装置の中だけで循環させます。 空気が大量に含まれているため、すぐ詰まってしまうかもしれません。 詰まってしまったらまたトラップの再生をしてください。

精製して、すべてストレージに回収する動作を繰り返します。 精製が完全では無い場合には、繰り返すたびにストレージの圧力が減少すると思います。 この減少が無くなるまで精製を繰り返してください。



10. 精製が終わったらすべての3, 4Heガスをストレージに回収して冷凍機の運転を終了してください。

ストレージの圧力が減少していると思います。 この減少が今回失ってしまった分です。

これがあまりに多いようだと、ガスの補充が必要になります。 損失は主に3Heとなっているはずです。



11. 冷凍機本体を引き上げます。

冷凍機本体も混入した空気により詰まっているはずです。 室温に暖めて真空引きすることにより、詰まりを取り除いてください。

またこの際、内部の圧力が高くなることが予想されますので、ドライポンプを用いて早急に排気を開始してください。



12. 再度冷凍機の運転を開始し、冷凍機が動作するかどうかを調べます。

冷凍機の破損が無く、ガスの損失も小さい場合には、冷凍機の最低到達温度は故障前と変わらないでしょう。

もしうまく冷えない場合には、冷凍機の修理やガスの量の調整が必要になります。



希釈冷凍機の故障の際には、冷凍機をよく知っている人に助けをお願いしましょう。

故障はしんどいことですが、めげずにがんばっていきましょう!