4重量子ドットにおける単一電子スピン共鳴

はじめに

半導体量子ドット中の電子スピンは、量子情報処理に向けた量子ビットの候補として注目を集めています。

スピン状態の初期化、操作、読み出し等の基本的な必要操作は既に実現されており、次のステップとして量子ドット系を大規模化し、そこでのスピン操作を実行することが重要となっています。

私たちは4重量子ドットを実現し、4つの量子ドットにおける単一電子スピン共鳴を実現しました。

実験

右図左側に試料の電子顕微鏡写真を示します。円で示した位置に4つの量子ドットが形成されます。この電荷状態を上側の量子ドットセンサーで検出します。

このセンサーで検出した量子ビットの電荷状態が右側の図です。4つの量子ドットの中に少数の電子をトラップされた状態が実現されています。

スピン閉塞と呼ばれる効果を使って、スピンの状態を電荷の状態として読むことができます。これを使って電子スピン共鳴を検出します。

試料に高周波電圧をかけ、試料上の微小磁石からの磁場を利用して電子スピン共鳴を引き起こします。

右図上側に観測された電子スピン共鳴線を示します。4つの量子ドットに対応した4本の共鳴線が見えています。

下側に4つの共鳴を1つのグラフにまとめた結果を示します。4つのディップの位置が、重ならずずれていることより、磁場や周波数を選択することで、単一電子スピン回転を実現することができます。

まとめ

私たちは4重量子ドットを作製し、4つの量子ドットにおける単一電子スピン共鳴を実現しました。

これらの結果は量子ビット系の大規模化、多スピン物理の研究に向けて重要となります。

参考文献

“Single-electron Spin Resonance in a Quadruple Quantum Dot”,

Tomohiro Otsuka, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Takumi Ito, Retsu Sugawara, Akito Noiri, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, and Seigo Tarucha,

Scientific Reports 6, 31820 (2016), arXiv:1510.02547.